備忘録

29カ国で1位、28年ぶりに1位

AC/DCの8年ぶり15枚目のスタジオ・アルバムとなるBlack Iceが凄い。本国オーストラリア、アメリカ、日本の洋楽チャートなど29カ国でアルバムチャート一位を獲得。
UKチャートで一位は1980年のBack in Black以来28年ぶり。USではFor Those About Rock以来26年ぶり。
しかも本作は本人たちの強い希望でデジタル配信なし、CDとビニール盤のみ。加えてアメリカではWal-Martチェーンでの独占販売のみでこの記録だから凄い。

演奏スタイルも30年間まったくかわらない。マルコムとアンガスのヤング兄弟のギターリフがひたすら8ビートのドラムにのっていき、しゃがれ声のボーカル。
旧作から連続で聴いても全く違和感なし。これまた凄い。 そもそも一曲目の曲名がRock'N Roll Trainだから・・・。

ブレザー、半ズボン、ハイソックスにランドセルのアンガス・ヤングも既に53歳。
今作が最後の作品との噂もあります。ツアーで来日しないかな。

最近のUKチャートはAC/DCに加えKings of Leon,OASIS,Metallica,Verveと（懐かしの）ロック復活、嬉しい♪

Jigsaw Falling Into Place

4年半ぶりの来日、10ヶ月続いたIn Rainbows Tourの最終公演がさいたま＆東京4Days Radiohead Japan Tour 2008。さいたま公演初日のさいたまスーパーアリーナに行って参りました。

1 5 StepsからEverything In Its Right Placeまで25曲2時間15分至福の時。 安定感抜群の演奏。クールな音に包まれていながら高揚していく気持ちと身体。 Radioheadでならではのパフォーマンス。彼らとしても最高の出来だったのではないでしょうか。 最近の作品はエレクトロニカが目立ちますが、やはり彼らは最高のギターバンドだと再認識いたしました。
正確でグルーブ感たっぷりのリズムチームがベース。意外と弾きまくりのギター。のびやかなThom Yorke独特の歌声。この組み合わせこそがRadiohead。派手なアクションなどないシンプルなステージング。幻想感たっぷりのライティング。

最高のライブステージでした。4Days全て参加すれば良かったな。

今回ライブでもハイライトのひとつとなったJigsaw Falling Into Placeが最高のお気に入り。
タイトなドラムにアコギ中心のメランコリックなギター。焦燥感につのられ後半で感動的な展開となる曲。美しい名曲です。
物語のような歌詞も素晴らしい。一部抜粋、お楽しみください。

Before you run away from me
Before you start unravelling
Before you take my mic
Just as you dance, dance, dance

Jigsaws falling into place
There is nothing to explain

君が僕から逃げ出す前に
君がほどけていってしまう前に
君が僕のマイクを取ってしまう前に
君がダンス、ダンス、ダンス、する時

ジグソーパズルがあるべき場所に収まっていく
もう説明することは何もない

Live from Paris

iTunes Store限定でリリースされたU2の「Live from Paris」。Joshua Tree Tourにおいて1987年7月4日に行われたパリのヴァンセンヌ競馬場でのライブパフォーマンス。「Joshua Tree」の20周年記念版に付属していたDVDの音源部分のみをリリースしたようです。
ギミック無し、ストレートなロックバンドだった当時のU2として最高のパフォーマンス。ファーストアルバム1曲目に収録されている'I Will Follow'からスタート、当時の選曲としてはベストのセットリスト。ハイライトは当時ライブエイドでも演奏された'Bad'と10分近くの演奏となった彼の代表曲'With Or Without You'。'The Unforgettable Fire'でのエッジの演奏は鳥肌もの。'Where The Streets Have No Name'が収録されていないのは 残念。
20年以上も経っているけれども全く色褪せない瑞々しい演奏。しばらくヘビーローテーション予定。

MUSEのライブアルバムHAARP

海外のメディアで数々のベストライブアクトを受賞しているMUSE。2007年に新装ウエンブリー・アリーナで行われた2daysライブ、6月16日土曜日の演奏の模様をCDに翌日の演奏をDVDに収録。
このDVDが素晴らしい。わずか45分でソールドアウトした16万人、三階席までぎっしりの景色は圧巻。

ウエンブリー夕刻のモノトーン画像から「ロミオとジュリエット」のバレエ音楽「Dance of the Knights」をBGMに三人が登場。米国防総省の高周波活性オーロラ調査プログラムHAARPを模したパラボナアンテナがセットされたステージ。
最新アルバム「Black Holes And Revelations」のハイライトとも言えるKnights Of Cydoniaが1曲目でオーディエンスが一気に引き込まれていく。サポートのブラスとキーボードが入るものの基本は3人のみの演奏。18曲目のTake A Bowまで素晴らしい演奏に陶酔するオーディエンス。カラフルな照明が壮大に盛り上げていく。
Mathew Bellamayがこのウエンブリーでの公演を過去最高のライブと評価したのも納得。
世界最高峰のライブアクトがパッケージされた1枚。

復活R.E.M.

加速すると名付けられた約四年ぶり通算14作目のR.E.M.新作「Accelerate」。プロデュースは今をときめくJacknife Lee。 Monster、Documentの頃に戻ったかのようなシンプルなロックンロールアルバム。全11曲35分を一気に駆け抜けます。 アメリカでは初登場でビルボード2位、UKでも初登場1位と久々にセールスが好調。相変わらず日本では売れませんが・・・。
デビューから25年経ってもマイケルスタイプの歌声は衰えるどころか色気を増しているかのようです。
アルバムのラストを飾るのは2005年の来日公演でも演奏されていたI'm Gonna D.J.。目の周りを黒くして'I'm gonna D.J. at the end of the world'と歌うマイケルスタイプは格好良かった。また来日してくれないかな。

The Top 10 Albums of 2007

11月中旬より怒濤の飲み会が続いていました。12月に肝臓がお休みできた平日は北海道出張帰りの一日だけ。土日も含めかつてないかなりヘビーな月でした。なんとか無事に新年を迎えられることに感謝。これらもお酒を美味しく飲むためにも来年は少し抑え目でいく所存です。

さて毎年恒例の年間アルバム総括。今年も忙しい一年だったけど、音楽だけはずっと聴いていましたね。新人、新譜のチェックも怠らず。ありがとうiPod&iTunes。 総括するとなんといってもUSインディの当たり年。メインストリーム以外のUSが面白かった。ということで勝手にマイランキング。

1.Because Of The Times / Kings Of Leon
2.Ga Ga Ga Ga Ga / Spoon
3.Robbers & Cowards / Cold War Kids
4.In Rainbows / Radiohead
5.Boxer / The National
6.The Boy With No Name / Travis
7.Wincing The Night Away/ The Shins
8.Favourite Worst Nightmare / Arctic Monkeys
9.Hats Off To The Buskers/ The View
10.Echoes,Silence,Patience & Grace/ Foo Fighters

Kings Of Leonの一位は迷い無し。7分を超える一曲目Knocked Upのイントロから高まる高揚感。そして最後の曲まで続くグルーブと煌めくギター。まさに私のツボです。最高のロックアルバム。レビューはこちら。
USインディならではのソリッドな音を鳴らすSpoonのメジャー移籍第1作はジャケットも格好いい。USインディの良心。 とても新人とは思えないモダンなブルースを聴かせるのはCold War Kids。驚いた突然のダウンロード販売のRadioheadの新作はこれまでやってきた音楽を総括するような貫禄たっぷりさすがの一枚。
ブルックリン出身四枚目のアルバムとなるThe Nationalは低音のボーカルにピアノ＆ストリングスのアレンジが良い大人の一枚。USインディは80年代のR.E.M.などのカレッジロックの派生と言われてますがその原点が確認できるバンド。

USインディブレイクスルーの年として記録されるであろう2007年。その勢いは来年も止まりそうもない。もちろんUKの反撃も楽しみ。

これで今年最後のエントリー。来年も気の向くまま更新してまいります。

Everybody Hurts

"My best favorite album"生涯最高の一枚「Automatic For The People」

R.E.M.1992年発売の8枚目オリジナルアルバム。
発売から15年経過するがまったく色褪せぬ名作。珠玉のメロディ。マイケル・スタイプの優しくて深い歌声。バンドとしての静かなそして確かなグルーブ。最高のアレンジメント。聞き直すたびに新たな感動すらある。
「死」をテーマにしており、全体的に重くて暗い印象なのだが、この静かさの中に美しさと優しさを感じさせるアルバム。アコースティック基調。元レッド・ツッペリンのジョン・ポール・ジョーンズによるバイオリン・チェロなどのストリングスアレンジが曲の美しさを際立たせる。
ニルヴァーナのカート・コバーンが自殺を遂げる前に聴いていたのがこのアルバム。
死をテーマにした静けさの中にあるポジティブなメッセージはなぜ彼に届かなかったのか。

4曲目に収録される'Everybody Hurts'

Don't let yourself go　 投げやりにならないで
Cause everybody cries　 誰だって泣くんだから
And everybody hurts　　 誰だって傷つくんだから

疲れて帰るある日の夜道、iPodからふと流れ出してきたこの曲。
心深くに染み込んできた。

世界のリズム

カバー＆コラボレーション好きにたまらない作品「Rhythms Del Mundo: Cuba」翻訳すると世界のリズムと名付けられたアルバム。自然災害や地球温暖化による異常気象などで被災した人々を支援するAPE(Artists' Project Earth)活動に賛同した英米のアーティストたちによるチャリティ・アルバム。アルバムパッケージ自体も全て再生紙から作られています。ライナーノーツは先日ノーベル平和賞を受賞したアル・ゴアからのメッセージも。こういった環境啓蒙活動も評価の一部でしょう。
このアルバムの参加メンバーが素晴らしい。U2、レディオヘッド、コールドプレイ、アークティック・モンキーズ、マルーン5、ジャック・ジョンソン、スティング、Didoなど。ボーカルパートを残して、ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブを中心とした演奏のラテンアレンジでリメイク。この組み合わせが面白い。この豪華メンバーの組合せで単なるチャリティアルバムにはとどまらない快作。ロックとラテンの組み合わせにはまっています。ロックを受け止めるラテンの懐が深いのか。

Radio 1: Established 1967

英国のラジオ局BBC Radio 1が開局40周年を記念したコンピレーション「Radio 1: Established 1967」を発売。1967年から各年のヒット曲から1曲づつで計40曲。これを豪華アーティストがカバー。

意外と知らない曲もあるけれども組み合わせがなかなか面白い。
開局一曲目でかかったらしいFlowers in the RainをKaiser Chiefsがカバー。
そのほかメンバーもBBCならではの多彩なアーティスト揃い。

「Radio 1: Established 1967」　2007/10/1発売

  1.Kaiser Chiefs: "Flowers in the Rain" [The Move; 1967]
  2.The Fratellis: "All Along the Watchtower" [Jimi Hendrix; 1968]
  8.Foo Fighters: "Band on the Run" [Wings; 1974]
10.KT Tunstall: "Let's Stick Together" [Bryan Ferry; 1976]
11.Franz Ferdinand: "Sound and Vision" [David Bowie; 1977]
15.Keane: "Under Pressure" [Queen & David Bowie; 1981]
20.Lily Allen: "Don't Get Me Wrong" [The Pretenders; 1986]
34.The Fray: "The Great Beyond" [R.E.M.; 2000]
37.The View: "Don't Look Back Into the Sun" [The Libertines; 2003]
40.Corinne Bailey Rae: "Steady, As She Goes" [The Raconteurs; 2006]

Radiohead / In Rainbows

メジャーレーベルと契約が満了したRadioheadが選んだ新作の発売方法は、オフィシャルサイトからのダウンロード又はボックスセット（アナログ/CD二枚組ブックレットなど豪華仕様送料込み£40）の注文販売。ダウンロード価格はIt's up to you・・・つまり、あなたにおまかせ。
先に音を聴くなら価格を決められるのだけれども試聴もなく難しい。£0もありで少し迷いましたが、結局中途半端な£1で購入（手数料込みで約300円）。もしCDが発売されれば購入することで還元できればよいかな。

さて、肝心な内容ですが、まずはコンパクトにまとまっているという印象。少し散漫な印象もあった全三作に比べ音数が減って、トムヨークの歌声が引き立つ。独特のビート感や音響感覚はRadioheadならでは。時々鳴らされる切り裂くようなギターや三本のギターのアルペジオは初期の頃を思い出させる。革新性はないけれども、これまでやってきたことをうまく整理できた良作。バンドサウンドになっていることを考えるとツアーにも期待。
ちなみに発売初日だけで推定120万ダウンロード。発売10日前の発表からネット上で情報の伝わるスピードを改めて感じると共に、メインストリームにいながらも異彩を放つRadioheadの存在感を示す数字。